医療福祉アドバイザー

Japan Association of Medical Welfare Advisors

成年後見相談

当協会は、行政書士による成年後見相談室を設置しました。法定後見、任意後見の相談を受け、後見人のいない方は日本医療福祉アドバイザー協会が後見人候補者を受託します。(家庭裁判所の審判で決定します。)

一般社団法人 日本医療福祉アドバイザー協会
事務局・相談室:
〒164-0013 東京都中野区弥生町3-24-11東大附属前学術振興センター内
電話03-6276-5365
本部・相談室:
〒194-0021 東京都町田市中町1-10-15武藤フラット2F
電話042-707-6515


参照:
裁判所のホームページを参照ください。家庭裁判所link

下記は裁判所のホームページを一部抜粋で転写しました。
詳しくは家庭裁判所link


第11 成年後見に関する問題

第12 医療観察法に基づく手続における保護者の選任に関する問題

第13 行方不明者に関する問題

成年後見制度とは,どのような制度なのですか。
成年後見制度とは,認知症,知的障害,精神障害などによって判断能力が十分ではない方を保護するための制度です。成年後見制度には,次のようなタイプがあります。
成年後見制度のタイプについて
区分 対象となる方 援助者
補助 判断能力が不十分な方 補助人 監督人を選任することがあります。
保佐 判断能力が著しく不十分な方 保佐人
後見 判断能力が欠けているのが通常の状態の方 成年後見人
任意後見 本人の判断能力が不十分になったときに、本人があらかじめ結んでおいた任意後見契約にしたがって任意後見人が本人を援助する制度です。家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから、その契約の効力が生じます。
「後見」とは,どのような制度なのですか。
認知症,知的障害,精神障害などによって,判断する能力が欠けているのが通常の状態の方について,申立てによって,家庭裁判所が「後見開始の審判」をして,本人を援助する人として成年後見人を選任する制度です。
成年後見人は,後見開始の審判を受けた本人に代わって契約を結んだり,本人の契約を取り消したりすることができます。このように幅広い権限を持つため,後見人は,本人の財産全体をきちんと管理して,本人が日常生活に困らないように十分に配慮していかなければなりません。
後見開始の審判について,詳しくは,こちらをご覧ください。
「保佐」とは,どのような制度なのですか。
認知症,知的障害,精神障害などによって,一人で判断する能力が著しく不十分な方について,申立てによって,家庭裁判所が「保佐開始の審判」をして,本人を援助する人として保佐人を選任する制度です。
保佐人は,保佐開始の審判を受けた本人が一定の重要な行為をしようとすることに同意したり,本人が保佐人の同意を得ないで既にしてしまった行為を取り消したりすることを通じて,本人が日常生活に困らないよう配慮します。なお,保佐人は,予め本人が望んだ一定のことがらについて,代理権を与えるとの家庭裁判所の審判によって,本人に代わって契約を結んだりする権限を持つこともできます。
保佐開始の審判について,詳しくは,こちらをご覧ください。
「補助」とは,どのような制度なのですか。
認知症,知的障害,精神障害などによって,一人で判断する能力が不十分な方について,申立てによって,家庭裁判所が「補助開始の審判」をして,本人を援助する人として補助人を選任する制度です。
補助人は,補助開始の審判を受けた本人が望む一定のことがらについて,同意したり,取り消したり,代理することを通じて,本人が日常生活に困らないように配慮します。そのため,補助の制度を利用する場合,その申立てと一緒に,予め,同意したり代理したりできることがらの範囲を定めるための申立てをする必要があります。
補助開始の審判について,詳しくは,こちらをご覧ください。
「任意後見」とは,どのような制度なのですか。
十分な判断能力がある方が,将来判断能力が不十分になった場合にそなえてあらかじめ公正証書で任意後見契約を結んでおき,判断能力が不十分になったときに,その契約にもとづいて任意後見人が本人を援助する制度です。任意後見制度の詳しい内容や利用方法については,お近くの公証役場でご確認ください。
なお,契約は,家庭裁判所が「任意後見監督人選任の審判」をしたときから,その効力が生じます。任意後見監督人選任の審判について,詳しくは,こちらをご覧ください。
成年後見制度を利用すると,制限されることなどはあるのでしょうか。
※ 詳細はご相談ください。
成年後見人には必ず候補者が選ばれるのですか。
家庭裁判所では,申立書に記載された成年後見人等候補者が適任であるかどうかを審理します。
その結果,候補者が選任されない場合があります。被後見人が必要とする支援の内容などによっては,候補者以外の方(弁護士,司法書士,社会福祉士等の専門職や法律または福祉に関する法人など)を成年後見人に選任することがあります。
なお,成年後見人にだれが選任されたかについて,不服の申立てはできません。
また,次の人は成年後見人になることができません。
(欠格事由)
(1)未成年者
(2)成年後見人等を解任された人
(3)破産者で復権していない人
(4)本人に対して訴訟をしたことがある人,その配偶者または親子
(5)行方不明である人
どのような時に,成年後見制度を利用するのですか。
例えば,以下のようなときに利用することが考えられます。
【後見】
・老人性の認知症により判断能力が欠けているのが通常の状態となった方のために,介護の契約を結んだり,財産を管理したりする必要があるときに,家庭裁判所に後見開始の審判の申立てをし,選任された成年後見人にそうした契約や財産管理をしてもらう。
・交通事故により判断能力が欠けているのが通常の状態となった方に代わって,その方のために,保険金(損害賠償)を請求する必要があるときに,家庭裁判所に後見開始の審判の申立てをし,選任された成年後見人に,本人の代理人として請求してもらう。
【保佐】
・老人性の認知症のため判断能力が著しく不十分な方について,介護サービス利用契約を結んで適切な介護を受けられるようにする必要があるときに,家庭裁判所に保佐開始の審判の申立てをし,同時に,介護契約を本人に代わって保佐人にしてもらう権限(代理権)を与えるとの審判の申立てをして,選任された保佐人に手続をしてもらう。
【補助】
・認知症の症状が出て判断能力が低下していると医師に言われるなどして,一人で契約等をすることに不安があるときに,家庭裁判所に補助開始の審判の申立てをし,選任された補助人にサポートしてもらう。なお,誤った判断に基づいてしてしまった契約を取り消すことができるようにするためには同意権を与えるとの審判を,契約等を本人に代わって補助人に代理してやってもらうためには代理権を与えるとの審判を,それぞれどのようなことがらについてやってもらいたいかを特定したうえで,補助開始の審判の申立てにあわせて申し立てる必要があります。
手続の流れは,どのようになっているのですか。
一般的には,以下のとおりです。
【手続案内】
○後見等開始の手続の流れや,申立てに必要な書類等について,ご説明します。

【申立て】
○本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。申立てに必要な書類や費用のうち,主なものは次のとおりです。
・申立書
・診断書
・申立手数料
・登記手数料
・郵便切手
・本人の戸籍謄本 など
詳しくは,家庭裁判所に用意されている一覧表などでご確認ください。

【審問・調査・鑑定等】
○申立て後,裁判所の職員が,申立人,後見人候補者,本人から事情をうかがったり,本人の親族に後見人候補者についての意見を照会することがあります。また,必要に応じ,裁判官が事情をたずねること(審問)もあります。
○本人の判断能力について,鑑定を行うことがあります。

【審判(後見等の開始,成年後見人等の選任)】
○家庭裁判所は,後見等の開始の審判をすると同時に,最も適任と思われる方を成年後見人等に選任します。事情に応じて,弁護士,司法書士,社会福祉士等の第三者を成年後見人等に選任することもあります。
○成年後見人等に対する報酬については,仕事の内容などを考慮して,家庭裁判所が定めることになっています。
鑑定とは,どのような手続なのですか。
鑑定とは,本人に判断能力がどの程度あるかを医学的に判定するための手続です。申立時に提出していただく診断書とは別に,家庭裁判所が医師に鑑定を依頼をして行われます。後見開始及び保佐開始の審判では,原則として,この鑑定手続が必要であると定められています。
鑑定には,申立てとは別に費用がかかります。鑑定費用は,鑑定を引き受ける医師の意向や,鑑定のために要した労力等に応じて決められますが,ほとんどの場合,10万円以下となっています(⇒詳しくは「成年後見関係事件の概況」をご覧ください。)
医師の方向けの鑑定書作成の手引は,こちらをご覧ください。
申立ての取下げはできますか。
申立ての取下げについては家庭裁判所の許可が必要となります。
成年後見人の選任に関する不満を理由とした取下げは,本人の利益に配慮して,原則として許可されないと考えられます。
成年後見人の役割は,どのようなものですか。
成年後見人の役割は,本人の意思を尊重し,かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら,必要な代理行為を行うとともに,本人の財産を適正に管理していくことです。
具体的には,(1)本人のために診療・介護・福祉サービスなどの利用契約を結ぶこと,(2)本人の預貯金の出し入れや不動産の管理などを行うことが主な仕事となります。
成年後見人に選任されてから,役割が終了するまでの主な流れは,以下のとおりです。

図版:成年後見人への就任から成年後見人としての役割の終了までの流れ

被後見人の居住用不動産を処分(売却,賃貸,賃貸借の解除,抵当権の設定等)したいのですが,どうしたらよいでしょうか。
居住用不動産とは,被後見人が居住するための所有権又は賃借権等を有する建物又はその敷地をいいます。
被後見人が現に住居として使用している場合に限らず,将来居住する予定がある場合も含みます。
精神上の障害を負っている被後見人にとって,居住環境が変われば,その心身や生活に重大な影響が生じることになります。
そこで,これらの処分については,特に慎重を期すため,家庭裁判所の事前の許可を得なければならないとされています。
したがって,被後見人の居住用不動産を処分する場合,成年後見人は,家庭裁判所に,居住用不動産の処分許可の申立てをしなければなりません。
被後見人と成年後見人の利益が相反するような行為を行う場合には,どうしたらよいでしょうか。
成年後見人は被後見人の財産を管理するために,財産行為に関する包括的な代理権を与えられています。
しかし,成年後見人と被後見人の利益が相反する行為の場合には,公正な代理権の行使を期待することができないので,被後見人の利益を保護するため,法律上その行為についてのみ家庭裁判所の選任した特別代理人が代理権を行使することになっています。
例えば,成年後見人と被後見人が共同相続人である場合の遺産分割や,成年後見人の債務を担保するために被後見人の不動産に抵当権を設定することは,成年後見人と被後見人の利益が相反する行為になりますから,特別代理人の選任が必要です。
成年後見人に報酬はないのでしょうか。
成年後見人は,その事務の内容に応じて,被後見人の財産の中から報酬を受け取ることができます。
その場合には,家庭裁判所に対し,後見事務報告書,財産目録,通帳の写し等に申立手数料800円を添えて,報酬付与の審判を申し立ててください。
なお,報酬の額については,裁判官が個々の事案の実情に応じて,対象期間中の後見の事務内容,後見人が管理する本人の財産の内容等を総合考慮して,裁量で決定する性質のものですが,標準的な報酬額のめやすを策定して公表している家庭裁判所もありますので各家庭裁判所のウェブサイトで確認してください。
高齢や病気のため,成年後見人の仕事をすることが困難になった場合は,どうすればよいのでしょうか。
成年後見人は,「正当な事由があるとき」は家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。
問題はいかなる場合が「正当な事由」に当たるかということですが,高齢や病気のため,成年後見人の仕事をすることが困難になったことは「正当な事由」ありと認められることが多いと思われます。
そのような場合は裁判所に相談の上,辞任許可の申立てをしてください。
辞任が許可された場合は,速やかに管理の計算をし,後任の成年後見人に被後見人の財産を引き継いでください。
成年後見人としての責任を問われる場合として,どのような場合がありますか。
成年後見人に不正な行為,著しい不行跡その他後見の任務に適さない事由がある場合には,家庭裁判所は成年後見人解任の審判をすることがあります。
また,成年後見人が不正な行為によって被後見人に損害を与えた場合には,その損害を賠償しなければなりませんし,背任罪,業務上横領罪等の刑事責任を問われることもあります。
被後見人と親子の関係にあっても,刑罰は免除されませんし,量刑上酌むべき事情にもなりません。
被後見人が死亡したときにしなければならないことはありますか。
被後見人の死亡により後見事件は終了しますので,成年後見人は,死亡診断書の写し又は戸籍・除籍謄本を添付して家庭裁判所に報告するとともに,法務局に後見終了の登記申請をしてください。
また,成年後見人は,被後見人が死亡しても,必要な範囲で以下の事務処理を行う必要がありますので注意してください。
(1)成年後見人は,被後見人死亡後任務が終了したときから2か月以内に,管理の計算をしなければなりません。
相続人がいるかどうか明らかでないときは,相続財産管理人選任を申し立てた上で,この相続財産管理人に対してこの管理の計算の報告を行うことができます。
(2)成年後見人は,相続人に対する管理の計算義務とは別に,家庭裁判所から後見事務の終了報告を求められたときは,相続人に対し財産管理を引き継いだ事実の報告や相続人に対して行った管理計算の報告などをしなければなりません。
成年後見人が本人のマイナンバーを取り扱う場合に,注意することはありますか。
1 マイナンバーの取扱いについて
マイナンバーは重要な個人情報であり,その取扱いについては「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)で厳格に定められています。成年後見人が本人のマイナンバーを把握し,その保管,提供を行うかどうかについては,本人の状況や手続におけるマイナンバーの必要性などを踏まえて,成年後見人自らが適切に判断しなければなりません。
また,マイナンバーを利用できる範囲は番号法で限定的に定められています。成年後見人が本人のマイナンバーを取得した場合には,番号法に抵触する行為を行わないように留意して,適切に管理する必要があります。
2 家庭裁判所に提出する書類について
家庭裁判所における後見関係の手続において,マイナンバーが必要とされることは通常ありません。成年後見人が本人のマイナンバーが記載された書類を取得した場合には,それを不用意に家庭裁判所に提出することがないように注意しなければなりません。また,後見事務報告の資料として,やむを得ず本人のマイナンバーが付記された書類を提出する場合には,マイナンバーが記載された部分を黒く塗り潰すなどして,マイナンバー自体を家庭裁判所に提供することがないよう御留意下さい。
※以上のことは,保佐人,補助人,任意後見人及び未成年後見人についても同様です。
後見制度支援信託とはどのようなものですか。
後見制度支援信託は,本人の財産のうち,日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し,通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことで(成年後見と未成年後見において利用することができます。保佐,補助及び任意後見では利用できません。),本人の財産を適切に保護するための方法の一つです。
信託財産は,元本が保証され,預金保険制度の保護対象にもなります。後見制度支援信託を利用すると,信託財産を払い戻したり,信託契約を解約したりするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書を必要とします。
後見制度支援信託を利用する場合の手続の流れはどのようになりますか。
財産を信託する信託銀行等や信託財産の額などについては,原則として弁護士,司法書士等の専門職後見人が本人に代わって決めた上,家庭裁判所の指示を受けて,信託銀行等との間で信託契約を締結します。
後見制度支援信託を利用するためには,どのような費用がかかるのですか。
後見制度支援信託を利用すると,通常,信託契約の締結に関与した専門職後見人に対する報酬と信託銀行等に対する報酬が必要となります。
専門職後見人に対する報酬は,家庭裁判所が,専門職後見人が行った仕事の内容や本人の資産状況等のいろいろな事情を考慮して決めます。
信託銀行等に対する報酬については信託商品や信託財産額によって異なりますので,信託銀行等にお問い合わせください。
後見制度支援信託を利用した場合は,後見人の日常的な財産管理はどうなりますか。
信託した財産は信託銀行等で管理されますので,後見人は,年金の受取や施設入所等のサービス利用料の支払といった日常的に必要な金銭を管理します。本人の収入よりも支出の方が多くなることが見込まれる場合には,信託財産から必要な金額が定期的に送金されるようにすることができます。
信託契約締結後,本人に多額の支出が必要になって,後見人が手元で管理している金銭だけでは足りない場合はどうすればよいですか。
家庭裁判所に必要な金額とその理由を記載した報告書(書式は家庭裁判所にあります。)を裏付け資料とともに提出してください。
家庭裁判所は,報告書の内容に問題がないと判断すれば指示書を発行しますので,それを信託銀行等に提出し,必要な金銭を信託財産から払い戻してください。
また,本人の収支状況の変更により信託財産から定期的に送金される金額を変更したい場合や,事情により信託契約を解約する必要が生じた場合についても,家庭裁判所に報告書(書式は家庭裁判所にあります。)を提出して指示書の発行を受ける必要があります。
信託契約締結後,本人に臨時的収入があったり,黒字分が貯まったりして,後見人が管理する金銭が多額になった場合はどうすればよいですか。
通常使用しない金銭については,家庭裁判所に追加信託の報告書を裏付け資料とともに提出してください。
家庭裁判所は報告内容に問題がないと判断すれば指示書を発行しますので,それを信託銀行等に提出し,追加信託をしてください。
なお,黒字分が貯まって後見人が管理する金銭が多額になる見込みの時期に,後見人から自主的な報告書の提出がない場合は,家庭裁判所から追加信託を求めることがあります。
後見制度支援信託を利用する場合の家庭裁判所の後見監督はどうなりますか。
後見制度支援信託を利用する場合も,家庭裁判所は,事案に応じて必要な後見監督を行います。
家庭裁判所からいつ報告を求められても対応できるように,収支を帳簿につけたり,領収書や信託銀行等から送付される報告書を保管したりするとともに,被後見人の心身の状態や生活の状況を定期的に記録するようにしておいてください。
後見制度支援信託を利用することに不服がある場合,不服申立てはできますか。
後見制度支援信託の利用は,家事事件手続規則に基づく裁判官の指示によるものであり,指示に対する不服申立てはできません。
後見監督とはどういうものでしょうか。
後見人は,家庭裁判所から選任された者であり,その地位は一種の公的な側面を有するものといえます。そのために広範な代理権・財産管理権が付与されます。
しかし,そのような広範な権限については常に濫用の危険が内在しているため,その行使が適正に行われているのかどうかを監視し,問題がある場合にはこれを是正させる方策は必要です。
後見監督とは,こういった後見人を選任する家庭裁判所による後見人への監視・監督作用を総称したものです。
家庭裁判所による監視・監督方法はどのようになっていますか。
家庭裁判所による監視・監督方法は,適時に後見人へ後見事務の報告や財産目録を提出させ,これを点検していくことを通じて行うことを基本としています。
しかし,点検作業の過程で後見事務に問題のあること,又は,問題が含まれている可能性があることを認識した場合には,金融機関に対する調査嘱託や,家庭裁判所調査官による事実関係の調査等を行って,問題の有無・対応などにつき検討したり,財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命じたりするほか,場合によっては家庭裁判所調査官の調査等を経ずに直ちに専門職後見人の追加選任・権限分掌の措置を講じて財産保全と後見事務の調査を行い,後見人を解任することもあります。
さらに,後見人の不正事案については,横領,背任等の刑罰法規に触れるものとして,家庭裁判所として刑事告発を行うことがあります。
家庭裁判所が職権で成年後見監督人を選任するのはどのようなときですか。
成年後見人に対する後見監督は家庭裁判所が行いますが,必要に応じて,家庭裁判所が選んだ成年後見監督人に成年後見人を監督させる場合もあります。
最近では,成年後見人による不正行為が社会問題となっており,家庭裁判所の後見監督をより適切に行うために被後見人の財産額が一定額以上あり,後見制度支援信託の利用がない場合に成年後見監督人を選任している家庭裁判所が多くなってきています。
成年後見監督人選任に対する不服申立てはできるのですか。
成年後見監督人を選任するかしないかは,家庭裁判所の専決事項です。
したがって,成年後見監督人の選任に対する不服申立てはできません。
被後見人宛ての郵便物を成年後見人の住所などに転送してもらうことはできますか。
成年後見人が後見事務を行うに当たって必要な場合には,成年後見人の申立てにより,家庭裁判所の審判を得て,被後見人宛ての郵便物等を成年後見人の住所又は事務所所在地(専門職後見人の場合)に転送してもらうことができます(この申立ては,成年後見人に限られ,保佐人,補助人,任意後見人,未成年後見人が申し立てることはできません。)。
したがって,被後見人宛ての郵便物等の転送を求める申立てをする際には,郵便物等の転送が後見事務を行うに当たって必要となる具体的な事情を申立書に記載していただく必要があります(申立書の記入例については「家事審判の申立書」の「成年被後見人に宛てた郵便物等の回送嘱託申立書」をご覧ください。)。
なお,転送の期間は,法律上,6か月を超えない期間とされています。
被後見人が死亡した場合,成年後見人はどのような事務を行うことができるのでしょうか。
被後見人が死亡した場合には,成年後見は当然に終了し,成年後見人は差し迫った事情がある場合を除き,成年後見人の権限を行使することはできなくなりますが,必要があるときは,被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き,相続人が相続財産を管理することができるに至るまで,被後見人が所有していた建物を修理したり(特定の財産に対する保存行為),支払を求められている被後見人の医療費等を支払ったりすること(弁済期が到来した債務の弁済)ができます(ただし,成年後見人に限られ,保佐人,補助人,任意後見人,未成年後見人はできません。)。
ただし,被後見人の死体の火葬または埋葬に関する契約の締結やその他相続財産の保存に必要な行為は,家庭裁判所の許可を得て行うことができます(この許可を求める申立ては,成年後見人に限られ,保佐人,補助人,任意後見人,未成年後見人が申し立てることはできません。)。
 家庭裁判所の許可の対象となる行為としては,次のような場合が考えられます。
(1)被後見人の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結(葬儀に関する契約は除く。)
(2)債務弁済のための被後見人名義の預貯金の払戻し
(3)被後見人が入所施設等に残置していた動産等に関する寄託契約の締結
(4)電気・ガス・水道の供給契約の解約 など
申立書の記入例については「家事審判の申立書」の「成年被後見人死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可申立書」をご覧ください。
※なお,成年後見人が後見事務の一環として被後見人の葬儀を執り行うことは法律上認められていません。
医療観察法に基づく手続において,後見人,保佐人,配偶者又は親権を行う者がいない場合はどうすればよいでしょうか。
→「家事事件」の「保護者選任」をご覧下さい。
所在の分からない相続人がいるため,遺産分割協議ができません。どうすればよいでしょうか。
不在者財産管理人の申立てをし,選任された不在者財産管理人が不在者に代わり遺産分割協議に加わることにより遺産分割をすることができます。
→申立手続等については「家事事件について」の「不在者財産管理人」をご覧下さい。
既に死亡していると考えられる者が行方不明であるため死亡届が提出できません。どのようにすればよいでしょうか。
失踪宣告の審判の申立てをすることができます。
→申立手続等については「家事事件について」の「失踪宣告」をご覧下さい。

 

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